NHKスペシャル「”冤(えん)罪”の深層~警視庁公安部・内部音声の衝撃」が1月4日に放送された。シリーズとして第3弾となっていて、前回の放送は観ていないが、今回初めてこの事件のことを知りとても怖くなった。
「大川原化工機事件」についての内容だが、この事件は大川原化工機が中国へ輸出している噴霧乾燥機が生物兵器製造に転用できる不正輸出にあたると警視庁公安部が経営者3名を逮捕し、1年近い長期拘留をした。うち一人は拘留中に見つかった病が原因で亡くなった。そして第1回公判の直前に検察官が控訴取消申し立てを行い裁判は終結している。
大川原化工機原告側は、国および東京都に対して5億6,527万円余りの損害賠償を求めて国家賠償請求を提起し、第一審判決では国と東京都に対し約1億6,200万円の支払いを命じる判決となっている。なお、被告・原告とも控訴した。
当然に当事者としては「なぜこんなことになったのか」と思い、その原因の追及、今後同様なことが発生しないような対策、そして賠償請求するだろう。感情的である自分が当事者だったとしたら完全に「仕返ししてやる、復讐する」という気持ち、行動に出てしまいそうで怖い。
番組ではその深層に迫っているが、完全に公安部が組織として間違った判断をしているように写った。事実では無く感情で判断をしているのではないか。しかもその感情は自分自身を中心に考えたものになっており、その言い訳として組織のためという理由にしている。裁判においても上司の捜査が恣意的であったという証言もされたようである。
ん~、正直怖すぎる。自分も同じようなことをしていないだろうか。権力や権限が自分にあるわけでは無いが、後輩から観た私は経験豊富に写っているかもしれない。自分の言ったことが正しい判断と思い込んではいないだろうか。もしくは思ってても私に進言してくれていないのではないか。
社内で年齢や経験的にも長い立場になると知っていることも多くはなるが、自身の判断・考え方が正しいのか自問自答し、また先輩後輩の意見・事実も聞いたうえで判断しないといけないと思いつつも、必達目標を与えられると目標達成可能な都合の良いストーリーを作り上げ、リスクを深く考えず進めてしまわないか。この事件と同じような間違いをしてしまわないだろうか。最近は私は組織人・管理職としてはあまり向いていないと実感している。今後どのように社会に関わっていくか悩む。
組織の仕組みによってもこのような事件を回避できるのだろうか。公安部の組織もいわゆる一般的なツリー型。今回の事件では公安部のなかの外事第一課の第五係が担当。そのなかでは管理官ー係長ー捜査員(約20名)という組織体制である。仕組みとして管理官、係長の判断で大きく結果が変わる。
そのようなリスクもあるからか、リゾーム型の組織への移行も推奨されている。ツリー型で高い立場になってきた人にとっては反発もあるのかもしれないが。これだと自分の考えや判断が間違いだと思ったときには後輩という立場でも総ツッコミしてくれるだろうか。それだとありがたい。
今年5月には東京高裁の判決が出るようなので注視していきたい。また、その他の冤罪だと主張されている事件についても丁寧なフォローがされる社会となってほしい。間違えないことは難しく、間違えであれば認め、今後同じ間違いを繰り返さないために、回避するためにどうするのかという風土が根付いた社会であるといいな。
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